発達障害

発達障害について

発達障害のイメージ写真

発達障害とは、生まれ持った発達上の特性によって、他の人とコミュニケーションをとったり、普通に社会生活を送ったりすることに困難を生じている状態のことを言います。
発達障害は、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動性障害(ADHD)、学習障害などが含まれます。

自閉スペクトラム症(ASD)

国際的診断基準の診断カテゴリーである広汎性発達障害(PDD)とほぼ同じ群を指しており、自閉症、アスペルガー症候群、そのほかの広汎性発達障害が含まれています。

典型的には下記3つの特徴が出現します。

  • 相互的な対人関係の障害
  • コミュニケーションの障害
  • 興味や行動の偏り(こだわり)

自閉症スペクトラム障害は、最近では100人に1~2人程度存在すると報告されています。
男性は女性に比べて数倍多く、一家族に複数人いることがあります。

注意欠如・多動性障害(ADHD)

発達年齢に見合わない多動―衝動性、あるいは不注意、またはその両方の症状が、7歳までに現れます。
学童期には3~7%程度存在し、男性は女性に比べて数倍多いことが報告されています。
また、男性の有病率は青年期には低くなりますが、女性の有病率は年齢を重ねても変化しないと言われます。

学習障害(LD)

全般的な知的発達には問題が無いのに、読む・書く・計算するなど、特定の事柄だけがひどく困難な状態を言います。
有病率は、2~10%程度と見られており、読みの困難については、男性は女性に比べて数倍多いことが報告されています。

発達障害の症状

発達障害の方に共通することはその特性ゆえに厳しく指導されたり、周りから否定された体験を持っていることです。
幼少期から思春期にかけての傷つきはその後の人生に大きな影響を与えます。
また、あくまでその方の特性なので治療対象となるかどうかは社会に対して不適応を起こしたときです。
特性があっても治療の必要がなく生活されている方も多くいらっしゃいます。

自閉スペクトラム症(ASD)の症状

1歳を過ぎた頃から、障害の兆候が現れ始め、「人の目を見ることが少ない」「指さしをしない」「他の子どもに関心が無い」などの様子が見られます。
対人関係に関連する行動は、通常の子どもでは急伸するものですが、自閉スペクトラム症の子どもでは明確な変化が現れません。
言葉を話し始めた時期に遅れは無くても、話したいことしか口にせず、会話が成立しにくい傾向があります。また、自分の好きなことや興味のあることには毎日何時間でも熱中したりします。
思春期や青年期では、自分と他者との違いに気づいたり、対人関係がうまくいかないことに悩んだりし、不安・うつ症状を合併するケースもあります。

注意欠如・多動性障害(ADHD)の症状

7歳までに、多動―衝動性、あるいは不注意、またはその両方の症状が現れ、タイプ別の症状の程度により「多動―衝動性優勢型」「不注意優勢型」「混合型」に分類されます。
多動―衝動性の症状には、座っていても手足をもじもじする、席を離れる、おとなしく遊んでいられない、じっとしていられない、しゃべり過ぎるなどがあります。
不注意の症状には、学校の勉強でミスが多い、課題や遊びなどで集中が続かないなどが挙げられます。
多動症状は、一般的には成長につれて軽くなる場合が多いのですが、不注意や衝動性の症状は半数が青年期、または成人期まで続くと言われます。思春期以降、不安・うつ症状を合併する人も見られます。

学習障害(LD)の症状

全般的な知的発達には問題が無いのに、読む・書く・計算するなど、特定の事柄のみが難しい状態を指します。
またそれぞれ学業成績や日常生活に困難が生じます。
こうした能力を要求される小学校2~4年生頃に成績不振などがみられ、学習障害が明らかになります。
学業に意欲を失い、自信をなくしてしまうケースもあります。

発達障害の治療

自閉症スペクトラム障害の治療

幼児期に診断された場合は、個別または小集団での療育によって、コミュニケーションの発達を促し、適応力を伸ばすことが可能ですし、療育を経験することによって、新しい場面に対する不安が減り、集団活動への参加意欲が高まります。
早期に診断をつけることは、保護者が子どもをありのままに理解し、その成長を見守っていくことに役立ちます。
自閉症そのものを治す薬はありませんが、睡眠や行動の問題が著しい場合には、薬の服用について専門医に相談してください。
思春期以降に不安・うつ症状が現れた場合には、抗不安薬や抗うつ薬を服用すると改善することがあります。
しかし、その場合にも、症状が現れる前に過大なストレスが無かったか、生活上の変化が無かったかなど、まずは環境をチェックし、その調整を試みることが大切です。

注意欠如・多動性障害(ADHD)の治療

幼児期や児童期に診断された場合の多くは、薬物療法と行動変容の促進、および生活環境の調整などが行われます。
薬物療法としては、脳を刺激する治療薬が主に用いられ、どちらも脳内の神経伝達物質の不足を改善する働きがあります。
当院では使えない薬(コンサータ等)もありますので事前にご確認ください。

学習障害(LD)の治療

学習障害の子どもには、教育的な支援が重要になります。
親と学校とが、子どもの抱える困難を正しく理解し、決して子どもの怠慢のせいにしないで、適切な支援策についての情報を共有することが肝心です。

発達障害の大人に見られがちな特性

  • 忘れ物やミスが多い
  • 上司や同僚らとのコミュニケーションがとれない
  • 提出物の期限が守れない
  • 大事なものをよく失くしてしまう
  • 仕事や家事の段取りが悪い
  • 自分を抑えられない
  • 空気が読めない
  • 音や臭いなどの感覚に関して、敏感だったり鈍感だったりする
  • 自分の習慣や手順へのこだわりがひどく強い など

このような方は当院にご相談ください。